汗をかく事は美肌にとって良いのか?

近年はサウナブーム ≒ 汗をかくブーム

 今日はお話しするテーマはズバリ「汗」です。梅雨に入り、暑い夏がやってきますね。

まず、「汗は肌にとっていいんですか」という質問をよく聞かれます。もし汗をかかない方が良いのであれば、制汗剤を使いますと言われます。

そこで、まずは汗をかくことが良いのか悪いのかという問題についてお話しします。

次に、汗をかいた後、すぐに拭き取るべきか、それともそのまま放置するべきかという点もよく議論されます。これについては、美肌や健やかな肌を保つために考えてみることもできます。

 

 

まず結論から言うと、健やかな肌を保つためには、汗をかくことが必要なのかどうかという点については、ちょっとピントがずれていると思います。なぜなら、汗をかくというのは体温調節のためだからです。

基本的に、人間の体は通常、100Wから150Wほどの熱を発生させています。例えば、冬でも体温は大体36.5度ほどであり、その時点で100Wから150Wの熱を発していると考えられます。

これを想像してみると分かりやすいと思いますが、足元を暖める電気ストーブは約400Wほどです。つまり、150Wというのはかなりの熱量です。夏になると気温が40度近くになることもあります。

体温が36度であると考えると、常に自身から約100Wの熱を発しているため、夏日と呼ばれる25℃以上になると、体温を下げるために汗をかきます。つまり、汗が出るかどうかの問題よりも、体温調節にとって汗は必要不可欠です。

美肌のために汗が出るかどうかという議論は難しいですが、これは避けられない要素だと考えられます。ただし、強く言えば汗をかかない方が良いのかもしれません。

さらに、さまざまな視点が存在します。例えば、サウナに入ってたくさん汗をかいてから水風呂に入って汗を流すという行為は、健康法の一つとして有効です。

 

 

このように、健康という概念は非常に広範であり、肌の健康を保つだけでなく、身体的および精神的な健康を維持するためにも、サウナに入って水風呂に入り、ビールを飲むことは非常に有益です。

少し話が逸れますが、WHOは健康の定義について定めています。健康の定義は、身体的な疾患や異常がないだけでなく、身体的な問題の有無に関わらず、精神的にも充実した状態を含むとしています。

健康はトータルで充実した状態を指すのです。したがって、サウナも健康に良いものと言えるでしょう。

ただし、美肌の観点から言えば、できれば汗はかかない方が良いと個人的には思います。実は、汗をかいた後に拭き取るかそのまま放置するかという点にも関連しますが、汗をかいたら拭き取る方が良いです。

なぜなら、汗は出た瞬間は弱酸性であり、水分が蒸発するとミネラルだけでなくタンパク質も含まれるからです。そして、タンパク質は雑菌の繁殖を促すため、肌に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

したがって、汗をかいた後はすぐに拭き取るか洗い直す方が良いです。美肌の観点から言えば、顔にかいた汗を拭き取る方が良いです。

なぜなら、拭き取らずにそのまま放置するということになると、汗を拭き取る手間も省けるということになります。

一方、健康全体の観点から言えば、私はスポーツも好きですので、汗をかいた方が良いと考えています。大局的な健康の観点から言えば、サウナが非常に良いし、スポーツも重要であり、たくさん汗をかくことが良いと思います。

ただし、美肌という非常に特定の視点から考えると、顔にはあまり汗をかかない方が良いという話になります。

このように、汗については美肌の観点ではなるべくかかない方が良いと言えますが、その理由は汗をすぐに除去することが重要だからです。

そうしないと細菌が繁殖し、肌のバリア機能を損ない、炎症を引き起こす可能性があるからです。特に肌のバリア機能が未熟な子供はあせもができやすいため、この点からも明らかです。

ですが、汗をかかない方が良いというわけでは全くありません。この点については誤解しないようにお願いします。

よく聞かれるのは、「何をすれば健康に良いのか?」や、「何をしたら体に良いですか?」という質問です。この話題に限らず、たとえば特定の食べ物を摂ると健康になるのか、美肌になるのか、体に良いのかといったことを医師に尋ねることがよくあります。

 

しかし、私たち医師の立場では、それについてはなかなか明確な回答ができないことがあります。

医学の基本は、病気がなぜ起こるのか、状態がどのように変化するのかといったことです。そして、変化した状態をどのように診断し、治療することができるのかという学問なのです。

一方、健康になるためにはどうすれば良いのかという問いは、まったく異なる学問です。

このような意味で、お願いしたいことがあります。私たち医師に質問する際には、「どうしたら健康になれますか?」や「どうしたら美肌になれますか?」といった質問は、医師が得意とする分野ではないことを理解していただけると助かります。できるだけそのような質問は避けていただけると幸いです。